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今年の初めに、この項で「日常食」というテーマの原稿を掲載しました。 「日常茶飯事」という言葉があるほどですから、私たち日本人にとって、最も日常的な「食」と言えば何と言っても「ご飯(お米)」ということになるでしょうが、この「米飯」ビジネスが、昨年あたりから大きな変化を遂げつつあるようです。 これまで、「おにぎり(おむすび)」の製造販売と言えば、長らくスーパーマーケットとコンビニ、そして一部の百貨店(いわゆるデパ地下ですね)の独壇場だったことはご存じの通りですが、しかし、これはみな基本的にテイクアウト用、持ち帰りのためのおむすびを販売する小売店です。 店内飲食できるイートイン客席も付いたフードサービス業(外食)業界のプロパー企業では、東京大塚の「ボンゴ」や小田急電鉄グループの「おだむすび」、大阪梅田の「一粒」などといった単独店、もしくは数店程度の有名繁盛店はありましたが、明確にチェーン店と言えるような「おむすび屋さん」は存在していませんでした。 ところが、このところ「カレッタ汐留」や「品川グランパサージュ」など、話題の大型商業施設へ次々と出店を続けている「おむすび権米衛」は、2003年9月のJR亀戸駅ビルへの出店で、すでに18店舗という異例の展開を続けています。しかも、その中には月坪売上が200万円を超えるような超繁盛店があり、川崎駅ビルの店舗では6坪で2,000万円を売り上げているという、驚異的な繁盛ぶりを見せているのです。 この「おむすび権米衛」が、これまでの「おむすび屋」と違っているのは、オフィス街を中心とした商業施設内など、いわゆるファストフード店が出店するような立地に次々と出店していることです。 また、売上の中心は、あくまでもテイクアウト需要に対応したものですが、多くの店がイートインのための店内客席を設けており、そこでは若い女性客などが味噌汁とおむすびで軽いランチをとるなど、ファストフードのハンバーガー店と同様の光景を見ることが出来ることも新鮮な驚きです。 こうした「おむすび権米衛」の繁盛ぶりによって、コンビニやスーパーマーケットといった中食対応の周辺業界をも巻き込んだ外食業界の「米飯ビジネス」競争がブレイクする日も、そう遠くはないことでしょう。 その他にも、ここ数年の間に、サントリー系列のファーストキッチンが出店する「OM'S」や、「牛角」のレインズの「ONY」、「銀だこ」ホットランドの「おむすび伝」など、まだ店舗数は少ないものの、同様に外食企業がファストフードなどのチェーン店として展開することを狙った「おむすび屋」ブランドは、次々と現れており、いよいよ「舶来物」のハンバーガーではなく、「おむすび」が「日常食」の主流になる時代がやって来るのかも知れません。 世界の街角に、「ハンバーガー店」の代わりに「おむすび屋」のショップが建ち並ぶ光景を見る日は訪れるのでしょうか?
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