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このページをご覧になっている皆さんは、どこにお住まいでしょうか? 筆者は東京の多摩地区というところに居住しているため、生活や仕事の中心は東京になりますが、仕事柄しばしば全国の様々な都市へ出かけることがあり、その際に行き先で必ず購入してくる「あるモノ」があります。 それは、その都市圏のみで発行されている「タウン情報誌」といったタイプの雑誌なのですが、恐らく、皆さんがお住まいのどの街の書店にも、こうしたその地域独自の「タウン情報誌」のような雑誌が少なくとも1〜2誌程度は並んでいるのではないでしょうか。 昨年から今年にかけての1年ほどのあいだにも、名古屋、大阪、京都、熊本、富山、仙台などの都市に出かけましたが、どの街にも複数の「タウン情報誌」があり、書店店頭の雑誌コーナーや駅の売店、空港の待合所などに並べられています。 特に、大阪や名古屋などの大都市圏では、こうした地域独自の「タウン情報誌」が、東京の大手出版社が発行している全国誌と肩を並べるほど、あるいは、それ以上の扱いになっているということも、多くの皆さんがご存じだと思います。 例えば名古屋を例に取ると、この地域には「Kelly」と「ChEEK」という女性向けの2大情報誌があり、その誌面の充実度は、ページ数においても内容に関しても、決して全国紙に引けを取らないボリュームがあります。名古屋周辺では、ほとんどの書店で、この2誌が一番良い位置に平積みにされていますし、特集の内容によっては、次月号が発売になる前に売り切れになってしまうほどの人気ぶりです。 また、大阪や京都には、「京阪神エルマガジン社」という出版社が発行する、京阪神地域の情報誌やムックが複数あり、こちらも近畿エリアの店舗やトレンドなどの情報収集には必見の資料です。 もちろん、全国平均で見ればこのような高レベルなタウン情報誌はごく少数で、いわゆるミニコミ誌的な雑誌が大多数を占めています。しかし、こうしたミニコミ誌なども含めて、ここ10年ほどの低迷する経済状況の中でも、こうした地方のタウン情報誌は確実に増え続けているということから、全国的にこうした地域密着型の「タウン情報誌」が地元の読者の支持を得て活気づいているということは否定できないでしょう。 さて、それでは、こうした状況というのはいったい何を意味しているのでしょうか。 これら「タウン情報誌」の隆盛という現象は、恐らく「全国の大多数の人々は、東京など一部の都会が発信するトレンド情報を盲目的に信じることはなくなってしまった」ということを現わしているのだと考えられます。 あるいは、すでに「トレンド情報の中央集権的支配は終わった」のだと言い替えても良いのかも知れません。 むしろ、これからのビジネスのアイデアは、巨大商圏に甘えた大都会ではなく、顧客の満足を得るために厳しい戦いを勝ち抜いている地方から生まれて来るのだ、という考え方すらできるのではないでしょうか。 事実、現在首都圏で人気を集めている繁盛店の多くは、もともと東京から生まれたものではなく、全国の各地方から進出してきた企業やブランド、商品によって展開されている店舗です。 そんな、さまざまなビジネスのヒントを得るためのテキストとして、旅行や出張に行かれるときは、ぜひ書店をのぞいて、その地域の「タウン情報誌」に眼を通してみてはいかがでしょうか。
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