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引き続く景気低迷の中で、多くの飲食店が深刻な売上減、客数減に見舞われています。 そうした状況を受けて、「集客を上げる販売促進」といったテーマで講演やセミナーが行われる機会も多く、筆者もそうした依頼を受けることがあります。 しかし、それでは「販売促進」とはそもそも何なのか? それは「広告・宣伝」や「集客イベント・キャンペーン」といったものとどこが違うのか? といった問題が、 いまひとつ明確になっていないような気がします。 「販売促進」とは、文字通り「販売を促進し拡大する」活動のことですが、日本中、場合によっては世界中の人々を相手に商売するインターネットでのEC(Webショップ)など とは違って、飲食店のような店舗ビジネスの場合、ある特定の店舗にやってくるお客様は、周辺の限られた範囲に居住・勤務しているのが原則です。日本国内でどんなに有名な 繁盛店であっても、アメリカやヨーロッパから、毎週同じお客様が来店してくれるということはありません。 つまり、そうした限られた範囲内に、あなたのお店を気に入って来店してくれるお客様が最低必要人数以上存在し、さらに、そのお客様が「何度もリピートして来店」 してくれなければ、あなたのお店の「販売促進」にはつながらないということになります。 「広告」というのは、新商品の発売など、ある決められたテーマに沿って、企業側が顧客(消費者)に知ってもらいたい情報や訴えかけたいイメージなどを伝えて行く ことですし、「宣伝」というのは、情報の送り手(企業)側が、自分の気持ちや考え方を受け手(顧客)に理解してもらい、納得してもらうための活動ですから、 結果としてそれが「販売促進」を目的としているのは明らかですが、「広告・宣伝」それ自体が直接「お客様のリピート来店」、すなわち「販売促進」につながって いるわけではありません。 また、商店街や商業施設などでは、しばしば大きな予算を使って「集客のためのイベントやキャンペーン」などを行いますが、 こうした活動が必ずしも個々の店舗の業績向上に直接結びつかない場合があるのは、こうした集客イベント・キャンペーンで集まったお客様は、 そのイベントやキャンペーンに惹かれてやって来たのであって、そのすべての人があなたのお店を利用してくれるとは限りませんし、もし利用してくれたとしても、 そのお客様が再び来店してくれるという保障はどこにもないからです。 つまり、まず店側に「一度来店したお客様が再びリピートして来店してくれる」ための仕組み、言い替えれば満足感や安心感、信頼感などが存在していなければ、 どんなにコストや手間をかけて「広告・宣伝」や「集客イベント・キャンペーン」などを頻繁に行っても、「販売促進」にはつながらないということになるわけです。 このように、「販売促進」活動には、まず最初に、店側が一度来店したお客様に充分な満足感を感じていただき、「また来店しよう」と思っていただくための仕組みづくりが 不可欠です。 そうした仕組みがなければ、いくら外部の見込み客に向けて「広告・宣伝」や「集客手法」を駆使したとしても、継続的な売上向上には結びつかないことは お判りだと思います。 近年、売上減の影響からか、駅前や繁華街などで飲食店の従業員が飲食代金の割引券付きチラシを撒く姿をしばしば目にします。しかし、良く考えていただきたいのですが、 このチラシはいったい「誰に・何の」サービスをするために配布しているのでしょうか? 街頭を歩いている人は、まだ、あなたの店のお客様ではありません。そうしたお客様に「割引券」というサービスを行っておきながら、すでに来店している現在のお客様には プロパーの料金を請求するのだとしたら、それは果たして「販売促進」なのでしょうか? あなたのお店ではどうですか? |