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ここ数年続くラーメン専門店のブームはいっこうに衰える兆しを見せません。その盛況ぶりは、これまで、どちらかと言えばこうしたブームを静観してきた感のあるラーメン店チェーンにすら影響を及ぼし始めています。 ラーメンとは不思議な食べ物で、ある種のジャンクフードであるが故に、麺とスープと具というごく単純な組み合わせながら、非常に幅広い味のバリエーションを生み出すことが可能であり、しかも美味しさの頂点が無数に存在するという特徴を持っています。さらに、千円札が1〜2枚あればいつでも食べ歩きができ、1日に数軒のラーメン店をハシゴすることも可能という、まさに低消費時代にピッタリの庶民的なグルメ商品でもあります。 有名ラーメン専門店には「フリーク」と呼ばれるマニアックなファン客層が数多く存在しており、インターネットや仲間うちのネットワークを通 じた情報収集によって、新店のオープンや新商品の発売日には店舗を訪れ、持参したデジカメで写 真を撮って、自分が運営するサイトにコメントとともに掲載するのが彼らの楽しみのひとつです。 こうしたラーメン専門店隆盛のキーワードは、1997年の日本流行語大賞を受賞した「マイブーム」という言葉に隠されていると言えるかも知れません。かつての「グルメ」とは、マス媒体や専門家といった権威によって語られる「美味い料理」や「良い店」を、お客が有り難く「食べさせていただく」といったものでした。 しかし、「自分だけのこだわりを大事にしたい」という「マイブーム」時代の風潮は、「グルメ」を、お客自身が「自分にとっての1番の店を見つけ出す」ための作業に変えてしまったのです。 一昨年から大流行した、いわゆる「カフェ」現象と呼ばれるものも、こうした「マイブーム」的な「自分だけの店」探しのひとつの現われだと言えます。 こうしたマーケットの現状を実感するには、インターネットでロボット検索サイト(「Yahoo!」などの登録型検索サイトではないもの)につないで、「ラーメン」や「カフェ」といったキーワードで検索してみるのが一番です。 いったい、どれだけ多くのページがヒットするか、ぜひ一度、試してみることをお奨めします。そして、それらのページをひとつひとつ丹念に見ていくこともまた、今日では重要なマーケティング活動のひとつになるのです。
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