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フードプロネット 入江直之のフードノウハウ店舗経営Q&A

【1】 商品づくり
喫茶店のボランタリーチェーンに加盟していますが、時代に合わなくなったのか業績が伸びません。チェーンを脱退し、改装して新しい店を始めたいのですが、売上を伸ばせるような「売れる商品」を作るにはどうしたら良いのでしょうか。
商品開発に関して一般的に言うと、モノが足りないという時代ではない現在、「商品が売れる」ということは、その商品の「コンセプトが売れる」ということであって、単に「優れたモノ」としての商品を作っても、必ずしも売れるとは限りません。
これを飲食業に置き換えれば、いくら「美味しい料理」であっても、それがお客の「ちょうど良いポーション(分量 )」「納得のいく価格」「食べたくなるような提供方法(盛り付けや食器)」「食べたい時間帯や食べたい場所(店舗の立地)」で提供され、かつ「美味しく感じる店舗デザインやサービスの雰囲気」の中で味わうことができなければ、期待したほど「売れるメニュー」にはならない場合も多いということです。
ですから、食べ歩きをしたり、美味しい料理レシピの開発について調理の専門家などに相談する前に、まずご自分の店舗の立地や規模などを踏まえて、全体としての商品コンセプトを明確にする必要があります。その上で、そのコンセプトに相応しい料理を揃えていくことが「売れるメニュー」を開発するポイントだと言えると思います。


【2】 業態開発
居酒屋を中心に飲食店を8店舗経営している会社で、統括マネージャとして店舗運営を任されておりますが、各店とも業績の伸びが止まっています。社長から「リニューアルを行うので、時代に合った新業態を開発しなさい」という指示が出ましたが、どのように考えたら良いのか判りません。
まず、「業態」とは何かについて考えてみましょう。「業態」とは、お客様の側から見て「どのような商品を、どのような場所で、いくらぐらいの価格帯で、どんな提供方法で、どんなお客様のニーズに対応して提供していくのか」という方針のことです。そして、その方針を、ある一定のレベルでキチンと守っていくのが店舗のマネジメントです。
ですから、新業態を考えるためには、まずあなたの会社の店が、どんな面 で優れており、どの部分に弱点があるのかを正しく見きわめることが重要です。これを正しく把握せずに、ただ繁盛している他店の業態をそのまま真似してみても、決して上手く行きません。
例えば、新業態にリニューアルする店が「優位な立地にあるが、従業員のレベルはそんなに高くない」のであれば、その優位 な立地を活かして、パート/アルバイトでも無理なく運営できる業態を考えるべきですし、逆に「不利な立地を、スタッフの実力でカバーしている」店であれば、そのスタッフの力を最大限に発揮できる業態を検討すべきでしょう。
新業態開発とは、お客様のニーズやトレンドを踏まえた上で、それぞれの企業ごとの性格に合ったものを採用すべきであり、巷で流行っている繁盛店の動向だけに左右されてはいけません。


【3】 スタッフ育成
家族を中心にして2店舗の焼鳥屋を経営しています。業績も安定してきたので、これから店舗展開を行って会社を大きくして行きたいと考えていますが、幹部となる社員が育っていません。店舗数を増やして行くためには従業員の育成が重要と思いますが、社員教育やトレーニングを上手くやる方法を教えて下さい。
あなたの会社に、いま必要な人材とは、大手チェーンのように決められたマニュアルをそつなくこなす従業員ではなく、どんな局面 に対しても経営者と同じような感覚で問題を解決できるという、積極的な行動力と柔軟性のある人材のはずです。そして、そういった人材を育てるために最も必要なことは、細かいことは気にせずに、やる気のある人間にはどんどん任せていくという経営トップの姿勢です。
「〜をしてはいけない」という否定的な指示だけでスタッフを教育しようとすると、段々にスタッフは「余計なことはしない方が良い」という気持ちになります。自分で考えて何らかの行動を起こして注意を受けるよりは、できる限り余計なことは何もせず、何か問題点に気づいても気づかぬ 振りをしている方が無難だという考え方になるからです。
ですから、基本的な方針や方向性を話し合うミーティングはマメに行っていかなければなりませんが、いったん何かの仕事を任せたら、細かいことに口出しをせず、言いたいこともジッとガマンして、最後までその担当者にやらせてみることが重要です。その代わり、任せる限りは「責任」もあるのだということだけは事前にキチンと確認しておく必要があるでしょう。
そのためには、結果がどうだったらOKなのか、どうだったらダメなのか、そして、ダメだった場合に、誰がどのように責任を取るのかといった基準を、あらかじめ定めておく必要があります。そうしたことを担当者が理解し、納得していることを前提に、トップ自身が責任を取れる範囲で、とことん任せてやらせてみなければ、自分自身で問題解決できる実力のある人材を育てることはできません。
その反対に、絶対にあってはいけないのは、「すべて任せる」と口では言いながら、結局、つねに口を挟んで細かいところまで自分の思い通 りのやり方でやらせようとするようなトップの態度です。
人材を育てるということは、その人材を自分の思い通 りに動かすことではなく、自分自身が、その人材から新しい考え方やものの見方を学ぶことである、というぐらいの気持ちで付き合っていかなければ、将来の幹部を育成することはできないでしょう。


【4】 インターネット活用
大学生の娘が「友達と食事に行く店はインターネットで探す」と言っていました。ウチは寿司屋ですが、ウチのような店でもインターネットを使って宣伝するようなことは可能なのでしょうか。
インターネット上には、「飲食店の検索サービス」という有料無料のサービスを行っているサイト(ホームページ)が数多くあります。こうしたサイトに登録されている飲食店は、お客様が宴会などで利用する店を探すときに、住所や電話番号だけではなく、店舗やメニューの写 真、予算がどのくらいか、予約が可能かどうか、などといったさまざまな情報を自宅にいながら比較検討することが可能ですし、サイトによっては、そのままパソコンから店舗への予約を行うこともできるサービスを行っているところもあります。
こうした検索サービスは、どちらかと言えば客単価の高い、わざわざ予約を取って訪れるような店の方が、より効果 が高いですが、お客様の側からすれば、簡単に多くの店を比較検討できてしまいますから、店側の「売りになる特徴」がハッキリしない店は選ばれない可能性も高くなってしまうということになります。
また、時間に余裕があるときにパソコンをインターネットにつないで、さまざまなホームページをじっくりと眺めてみれば(これが、いわゆるネットサーフィンというヤツですね)、そこには個人や小規模のグループが情報発信する「食」関連のサイトが数え切れないほど存在しています。こういったサイトでは、個人ベースで様々な分野の「食」に関する情報が日夜飛び交っており、その情報の伝達スピードは他のメディアとは比べものになりません。これはネット上の「口コミ」のようなもので、「食情報」について、この「口コミ」の果 たしている役割は決して少なくありません。
つまり、「口コミ」に載るような話題性のある店は、これまでよりもはるかに素速く評判となり、かなり遠方からもお客様を集めることができるようになってきたということです。近ごろテレビなどで特集している「繁盛ラーメン専門店」などの中には、こうして有名になった店がたくさんあります。


【5】 商業施設出店
私鉄の沿線にレストランを開業していますが、近くのターミナル駅に駅ビルができることになり、テナント出店についての説明会の案内をもらいました。駅ビルの出店についてのポイントを教えて下さい。
近年では、駅ビルなど多くの商業施設で、地域の繁盛飲食店を見つけ出して誘致しようという動きが見られます。あなたの店が地元の繁盛店であれば、大企業でなくても商業施設出店の可能性は充分にあると考えて良いでしょう。
商業施設への出店の魅力は、何と言っても圧倒的な来店客数ですが、商業施設に出店さえすれば確実に大きな売上が得られたという時代は過ぎ去りました。現在では、比較的業績の良い商業施設でもテナント間の売上には大きな格差があります。ですから、テナント誘致担当者の話を鵜呑みにするのではなく、専門家などのアドバイスも良く聞いて結論を出すべきでしょう。
新規商業施設のテナント募集はオープンの約1年前にはスタートします。この段階で、商品政策・販売計画・店舗デザイン・人員計画などを決定し、試算表などを提出して商業施設ディベロパーを説得できなければ契約には至りません。募集情報を入手してから検討を始めるのでは遅すぎる可能性もありますし、逆に結論を急ぎすぎて失敗する場合もあります。
商業施設への出店では、家賃以外にも様々な経費負担があることや、取扱商品を勝手に変更できないこと、売上金をいったん施設側に入金しなければならない場合が多いこと、撤退時の条件が比較的厳しいことなど、通 常の路面店とは違ったルールがたくさんあります。こうした条件をシッカリ把握して、良く検討した上で出店を決断することが重要です。


【6】 パソコン活用
知人の会社ではパソコンで経理などを行っていると教えてもらい、喫茶店や弁当店などを3店舗経営している我が社でもパソコンを買いました。安くない買物なので、いろいろと活用したいのですが、他にどのような利用法があるのか教えて下さい。
経理などの業務をパソコンで行うことにより、個人企業でも大幅に作業の手間を減らすことが可能になりますが、せっかく導入したのであれば、それだけではなく営業的な分野にもパソコンを活用することを検討したいものです。
2〜3店舗程度の経営を行っている小さな会社で、パソコンを営業的に活用する方法としては、下記に上げるような、いくつかの分野が考えられます。

1)
顧客名簿のデータベースをつくり、顧客管理を行って、DM送付や宴会予約などの業務に活用する。
2)
経理以外の、メニュー管理、売上管理、仕入れ管理、コスト管理、原価管理、人件費管理、諸経費管理などといった営業的な計数管理をパソコンの表計算ソフトなどを活用して行う。
3)
計数管理のデータに基づいて、各種の分析ツールなどを用いて数値ベースの経営分析を行う。
4)
インターネットを使った販促プロモーションにパソコンを活用する。
5)
チラシやPOP、ショップカード、求人などのサイン、金券やクーポン、DMハガキなどといった少部数でマメに制作したい印刷物をパソコンで作成する。
6)
インターネットを通じて、商品のトレンド情報や食材の価格、仕入れ先情報、離れた地域の話題の店舗情報など、情報収集のツールとしてパソコンを活用する。
その他にも、パソコンの利用法はアイデア次第で幅広く考えられますが、大事なことは、まず店舗経営についての問題意識をどれだけ持っているかということです。そうした問題の解決方法として、パソコンが活用できないかどうかという視点で考えてみれば、さらに様々な利用方法を見つけ出すことができるのではないでしょうか。


【7】 採用
当店のある場所は、まわりに学生さんなどが多く住んでいるような地域ではないので、アルバイトの採用にはいつも求人誌を使っていますが、多額の費用を払って大手の有名な求人誌に掲載しても、応募も少なく、なかなか良い人材も集まりません。何かコツなどはあるのでしょうか。
交通の便が良い繁華街や、学生向けのアパートなどが建ち並ぶ学生街といった場所以外では、学生やフリーターといった若いアルバイトやパートを採用するのにもなかなか苦労が多いものです。
求人媒体については、必ずしも大手の有名求人誌の方が効果 が高いとは限りません。エリアによっては、地域の新聞折り込み媒体やタウン誌などで募集した方が、はるかに多くの応募があることもありますし、採用コストについても、大手求人誌の1回分の費用で、新聞折り込み媒体なら2〜3回の掲載が可能なくらい違ったりもしますから、地域でどのような媒体が利用可能か、また、それはどのエリアにどのくらい配布されるのかなどを調べて活用してみる必要があるでしょう。
あるいは、ひとつの考え方として、学生の代わりに近隣の家庭の主婦を採用できないかについても検討してみて下さい。過去に社会人経験のある主婦は、学生やフリーターよりも責任感もあり、生活もかかっていますからまじめに働きます。若い学生とは違って、確立された自分の考えやモノの見方を持っている分だけ、教育には手間がかかる部分もありますが、いったん会社側の考え方を理解し納得したら大きな力を発揮するのも主婦の強味です。スーパーなどの売場には、月商1,000万円ぐらいの売上を任されている主婦の責任者は決して少なくありません。
また、求人媒体の掲載内容についても、店舗の宣伝・広告と同じように、コンセプトに基づいたキャッチコピーやコメントが重要な要素となりますから、どのような人材が必要なのかによって、こうしたコピーの内容や文章にも充分気を配ることが大切です。


【8】 仕入れ業者開拓
周辺に大手チェーンの店がどんどん増えて、安くてボリュームのあるランチなどを提供するようになり苦戦しています。食材の仕入れ先を新しく開拓してメニューを工夫したいと考えていますが、安くて良い食材を提供してくれる仕入れ先の探し方を教えて下さい。
まず当たるべき先は、既存の取引がある食材納入業者です。優秀な納入業者であればあるほど、他の分野の優秀な業者の情報や有力店の情報を持っていますから、そうしたルートで紹介してもらうことによって、分野ごとの有力な業者を紹介してもらうことが可能です。また、年に何回か開催される見本市や展示会に出かけて、直接、これはと思う業者にアプローチするという方法もあります。
さらに近年では、現金買いの業務用ディスカウント店が、現品を確認した上でまとめ買いによって安く仕入れるルートとして活用できますし、インターネット上にもB2Bと呼ばれる業務用食材の販売サイトが数多く存在しており、インターネットでの24時間発注や小ロットでの配送に対応しているケースも見られます。
特殊なこだわり商品を見つけ出すには、デパートやグルメ専門スーパーなどの売場を回ってみることも大切です。こだわり商品については製造元に直接アプローチして、仕入れる方法を問い合わせたり、場合によっては(事前に紹介者が必要な場合が多いですが)地方の漁港や農家などに実際に出かけて交渉することで、思わぬ ルートを開拓できる場合もあります。
しかし仕入れ業者もビジネスですから、取引先の状況によって取引条件は変化します。支払方法、発注方法、ロット数などは、トータルの取引条件によって変わりますし、商品納入以外のサポート業務や情報提供も価格以外の重要な要素です。
こちら側が客なのだからと横柄な態度で接したり、馴れ合いの関係にならず、ビジネスとしてお互いに誠実な付き合いができるようにすることが、良い業者と良い関係を維持していくための最低限のルールですが、何よりもまず、支払日をキチンと守ること、そして食材を見る眼を養い、つねに検収時の検品をシッカリ行うことによって、業者側も手を抜かずに、良い食材をより安く納入しようと努力してくれるようになるはずです。


【9】 物件探し
独立してカレーショップを開業したいと考えています。商品は何年も研究したもので自信がありますが、店舗の物件をどのようにして探したら良いのかが判りません。どこを探せばよいのか、どのような基準で決めればよいのかについて教えて下さい。
まず、あなたがやろうとしている店には「どんな物件」が向いているのか、専門家に聞いたり専門書で学んだりして、事前に「物件の良し悪しを正しく判断する眼」を持つことが肝心です。大事なことは、出店するための条件を限りなく具体的に設定することです。その物件が高いのか安いのかは、決して「相場」で決めるのではなく「試算表」を作って検討することが重要ですし、大家さんに対する条件交渉も、この試算表を基にして行えば説得力が違います。
何か良い物件はないですか?」といった曖昧な言葉では誰も真剣には動いてくれません。仲介業者の専門分野をシッカリ把握して、適切な依頼をすることがポイントです。そして「これは!」と思った物件は、すぐに現場(店内)を内見します。大家さんに対して家賃などの条件交渉をするのはその後で充分ですし、むしろ大家さんと会う前にいろいろ交渉しようとするのは逆効果 です。仲介業者にとっても、実際に借り手を紹介してからの方が、大家さんに対して強気の交渉が出来るものです。
また、仲介業者や貸し主にもそれぞれ都合がありますから、出店の可否は出来るだけ速やかに返答するのが礼儀ですし、次の情報も出て来やすくなります。
物件を探しているときは、街を歩いていて気になる店舗があったら、たとえ営業中であっても、貸し主か管理会社を探してとりあえず飛び込んでみるくらいの姿勢が必要です。今は空いていなくても「空いたらどうぞ」という場合もありますし、次の借り手を探しているケースも決して少なくありません。


【10】 店舗デザイン
脱サラで小さな飲食店を始めて1年、何とか軌道に乗せたので次の出店をしたいと考えていますが、次の店では、今の店のデザインや内装などの不満を解消した店づくりをしたいと考えています。どのような業者に、どのように依頼すれば良いのかについて教えて下さい。
店舗のデザインや内装というものは、本来、まずコンセプトや業態、メニュー構成などといった経営方針が確立された上で決定されていくものです。実際の店舗の経営を知らないデザイナや設計者、施工業者ほど、こうした経営方針を無視して自分のアイデアや感覚だけで店づくりをしようとする傾向があります。
ですから、納得のいく店を作ろうと思ったら、物件が確定する以前からシッカリとミーティングを重ね、経営方針や営業の内容について理解してもらった上で設計、施工に取り掛かってもらわなければなりません。
また、設計料を安くしようと施工業者に直接発注するケースがありますが、これは依頼主側が店づくりに相当な経験を積んでいない限り、コストコントロールができずに結局は割高な工事になったり、思った通 りの店ができずに不満が残ることが多いものです。飲食店舗の経験豊富な設計者を立てて、全体のコストや進行をコントロールしてもらうことが、結局は良い店を安くつくる近道であると考えた方が良いでしょう。
信頼できる業者の選択のポイントは次の2つです。
まず、ひとつはコスト感覚があるかどうか。事業の初期投資としての設計・施工費用や、ランニングコストとしての店舗メンテナンス費用などについて配慮する感覚がなければ、話題になる店は作れるかもしれませんが、「利益の上がる店」をつくることは難しいといえます。話題づくりや目立つためのアイデアばかりで、コストについて言及しない業者には気をつけなければいけません。
もうひとつは、店側、特に現場スタッフの意見を聞く姿勢があるかどうかです。
しばしば、「我々はプロだから素人は黙って任せなさい」という態度で現場のスタッフの意向など聞きもしない内装業者がいますが、本当のプロはそんなことはしません。個人住宅をつくる場合でも、優れた設計者の中には1年近く施主と友達付き合いをし、施主の「人となり」を理解してからでないと設計に取りかからない、という方がいるくらいですが、その後の営業を左右する店づくりの事前打ち合せで、関係者の意見を充分に採り入れようとしない業者には注意が必要です。


【11】 フランチャイズ契約
新しい飲食店のスタイルを思いつき開業したところ、思いのほか上手くいって、そこそこの業績を上げています。将来これをフランチャイズ方式で展開し、いわゆる「のれん分け」をしていきたいと考えています。
オペレーションはとても簡単で、アルバイトでもできる仕組みなのですが、そのせいで類似した店が簡単に出来てしまうという不安もあります。フランチャイズ経営のポイントなどを教えて下さい。
まず、FC(フランチャイズ)契約と、俗に言う「のれん分け」とは、本質的には異なっています。
FC契約とは、独自のノウハウを経営指導として継続的に提供する代わりに、ロイヤリティ(経営指導報酬)を徴収する仕組みで、いわば経営コンサルティングに近いビジネスです。
これに対して、「のれん分け」とは、「のれん」つまり「看板=ブランド=商標」の使用料を売るビジネスですが、この「看板料」だけでは長期間継続して報酬を受け取ることは難しいものです。
使用料金を支払う側の立場で考えていただければ判ると思いますが、店舗経営についての継続した指導なしに、その店の「看板」を使わせてもらうだけで毎月使用料を徴収されるというのでは、 加盟店は次第に離れて行ってしまうものです。
お問い合せのように「アルバイトでもすぐできる、簡単に真似されてしまうような仕組み」だとすると、上記のような長期間のFC契約として継続したロイヤリティを徴収するのは、なかなか難しいかも知れません。
また、たとえ商標などを登録しても、実際に営業を真似されてしまえば裁判で争うしかなく、これには多大な費用と時間と手間がかかりますから、最終的に勝てるとしても、裁判に訴えるメリットはあまりないかも知れません。
FC契約として、継続的にロイヤリティを徴収する加盟店を集めてチェーン化を図るつもりなら、まず現在の飲食店の仕組みを、簡単には真似されないようなレベルまで高める必要があると思われます。FC契約の基本は、その真似をするよりも、 FC本部と契約をした方が、安く簡単に経営できる仕組みになっているというのが基本です。特に、飲食店FCの場合、店舗オペレーションの指導が必要になると、徴収するロイヤリティよりも本部の指導経費の方がかかってしまうというケースも考えられますので注意が必要です。 本来のFC契約とは異なりますが、継続したロイヤリティは徴収せずに、開業時に「店舗のブランド使用権」や「商品の製造法」「出店物件の評価」「店舗の設計・施工」「開業時のオペレーション指導」などといった開業関連の業務のみをサポートするという方法や、他で真似のできない独自商品を製造し、商品の納入によって利益を上げるといった方法もあります。


【12】 二世教育
私は若い時期に脱サラで飲食業を志し、現在では8店舗ほどの飲食店を経営しています。 そろそろ引退をと考えているのですが、社長である私一人が実質的にすべてを切り盛りして来た個人企業であり、後継者となる人材がいません。 将来は息子(28歳)に継がせようと考え、現在、自分の店で店長をさせておりますが、
まだまだ経営者という自覚もないようです。 息子にどのような教育をすれば良いのか教えてください。
まず第一にすべきことは、息子さんを他のしかるべき企業で修行させることです。あなたがどんなに他の社員と同じように息子さんに接しているつもりでも、 会社の中では、息子さんは社長の後継者として見られています。あなたの息子さんを叱り飛ばせるような番頭さん役の社員でもいない限り、あなたの息子さんに、 組織の中での仕事のやり方を叩き込んでくれるような従業員はいないでしょう。
このとき大事なことは、その企業で「何を学ぶのか」というポイントを明確にしておくことです。どんな大企業や有名なレストランなどに勤めても、 飲食店チェーンの経営者として知っておかなければいけないことをすべて学べるような環境はまずありません。ですから、その職場で学ぶべきことを事前に明確に 絞り込んだ上で、就職先の企業を検討すべきです。
20歳そこそこの若いうちであれば、調理やサービスの見習いなどからスタートして技術的なことをある程度修得し、その後に管理職としてマネジメントを学ぶなどの 時間も充分にあるでしょうが、息子さんの年齢では、時間もあまりありませんし、企業の選択肢も限られます。
料理やドリンクなどの商品知識、調理技術やサービスのテクニック、販売促進や計数管理の手法といった技術的なことは、知識としては後からいくらでも書籍や セミナーなどによって勉強することは可能ですし、独学であっても本人の根気と努力でカバーすることは不可能ではありません。
しかし、組織の中で(社長の息子という)特別な存在ではなく、ひとりの人間として扱われながら、自分のポジションを確保し、自分の望む方向に組織を動かしていく、 という「マネジメント能力」や「コミュニケーション能力」を開発していくためには、ある程度大きな組織に属して、複数の上司や多くの同僚のあいだで仕事を行うという 経験を積む必要があるでしょう。 遅くとも20代のうちに、こうしたことを身をもって学んでおかないと、30代〜40代になってからそうした経験の必要性を感じたとしても、他の企業でイチからスタートする ことは本人にとっても非常に苦痛なことですし、現実に受け入れてくれる企業も多くはないでしょう。
今のうちに少しでも早く、あなたの会社よりも大きな組織の飲食チェーンなどへ就職させ、組織の中での仕事の進め方、人の使い方、上司部下の人間関係といった、経営者となる人間が学ぶべき基本的なことがらを体験しておくことが大事です。


【13】 初心者の開業
私は、かねてから念願の飲食店を開業しようと、1年以上前から計画し、自分なりに準備もしてきましたが、最近、経済紙や業界誌などを読むと、急成長してきた飲食企業の業績不振とか、つい最近まで繁盛店と言われてきた居酒屋チェーンの売上ダウン、あるいは、話題の商業施設は数多くできたがそのせいで店舗の供給過剰、といった記事を目にすることが多く、この時期に開業することに少し不安を覚えています。
果たして、こんな状況の中で、私のような初心者が開業してもやっていけるのかどうか、ご意見をお聞かせ下さい。
過去何年かのあいだ、他の業界の不況をよそに景気の良い話題を振りまいていた感のある飲食業界ですが、確かに、昨年あたりから急速に業績が低下しているチェーンなど、不安な報道が多くなっているというのも事実だと思います。
しかし、これはあくまでマクロの話です。確かに全体としての飲食マーケットは伸び悩んでしていますし、今の状況は、決して好景気とは呼べない状態かも知れませんが、そのことと、あなたの開業しようとする店が成功する可能性があるかどうかということは、また別の問題と言えると思います。
あなたが個人で開業しようとしている店は何坪ぐらいでしょうか? 普通、個人で独立してオープンしようとする最初の店は、せいぜい20坪程度、売上目標にして300〜400万円ぐらいの規模と思います。
仮に客単価2,000円で月商300万円を売り上げると考えた場合、1ヶ月に必要な客数は1,500人です。これは延べ客数ですから、月に2回来店いただくというお客様も含めて考えれば、実際に必要な人数は1,000人ぐらいかも知れません。
要するに、あなたがやるべきことは、あなたのお店の周辺に居住もしくは勤務している1,000人ぐらいのお客様に常連客になっていただき、1月に1〜2回程度は来店していただけるような店を作り上げることです。
従って考えるべきなのは、飲食業全体や大手企業などの動向ではなく、あなたの店のまわりにある競合店と、どのようにして戦っていくか、ということになるわけです。そう考えると、マクロのマーケットの動向がどうなのか、といったこととは違った見方で出店を考えることができるのではないでしょうか?
また、過去の事例を良く研究してみると、大きく飲食業を変革していくような企業の創業者というのは、他の業界からの参入者、つまり飲食業の初心者であるケースが非常に多いことが判ります。つまり、既存の業界内の既成概念や手法にとらわれず、お客として飲食店を利用していた立場から、新しいアイデアや商品、サービスなどを開発し、大きな成功を収めた例は数多くあるのです。
もちろん、これは「初心者だから上手くいく、初心者の方が優利」という話ではまったくありませんし、初心者であるがために直面する困難や障害は数え切れないくらいあるでしょう。
しかし少なくとも、こうした観点から考えてみれば、ただ闇雲にマーケットの現状や業界の初心者であることを恐れる必要はないと思います。


【14】 ブランド力とは
若い頃に修行した洋菓子店から独立して地元の商店街に店を出し、10年間で沿線に3店舗ほど店舗を増やしました。味には自信がありますので、駅ビルやショッピングセンターといった商業施設への出店を狙って、いろいろと伝手をたどってアプローチしているのですが、なかなか良い返事が得られません。 あるところで、「おたくはブランド力がないから」という理由で断られたのですが、「ブランド力」とは何なのでしょうか? どうしたら、ブランド力がつくのでしょう? 教えて下さい。
大変に難しいご質問で、限られたスペースですべてを説明することは難しいかも知れません。
まず、「ブランド」とは何か、ということになりますが、アメリカ・マーケティング協会の定義によると、「ある売り手、あるいは売り手の集団の製品およびサービスを識別し、競合相手の製品およびサービスと差別化することを意図した名称、言葉、サイン、シンボル、デザイン、あるいはその組み合わせ」ということになるそうです。(愛知県 産業労働部 新産業振興課のページよりhttp://www.pref.aichi.jp/shinsangyo/aichibrand/aichibrandoutline.htm
これではちょっと判りにくいですが、つまりブランドとは「他社(他店・他商品など)との違いをハッキリさせるために、ネーミング(店名・商品名)やデザイン、マークなどを組み合わせたモノ」といったことでしょうか。あなたの店が「ブランド力がない」と評価されたのは、あなたがオーナーである3店舗の既存店が、こうした「統一された営業方針と、それに基づいた名称やデザイン、マークなどが明確ではなく、競合他店とハッキリ区別ができない」と判断されたということだと思います。
したがって、「ブランド力」をつけるためには、まず既存店だけではなく、これから出店する店も含めて、あなたの会社の内容を統一して説明できる明確な方針(コンセプト)を決定して文章化すること。そしてそれを基に、各店舗と商品のネーミングや内装、パッケージ、マークなどを、独自のデザインで統一していく、といった作業が必要になります。
こうした作業には、当然、デザインやブランドづくりの専門家の手を借りる必要がありますから、まず、そうした専門家の中で自社に相応しい人を探すことから始めるべきでしょう。
また、ブランドを確立するためには、
(1) ブランドの中心はネーミングであり、特定のブランドには「絞り込まれたコンセプト」と「他にはないオリジナルなネーミング」が必要となる。
(2) ひとつの「ブランド(ネーム)」に対して、商品(サービス)の範囲を拡大してはいけない。
(3) ブランドの価値を高めるのは「広告宣伝」ではなく「口コミ」などのパブリシティ効果である。「広告宣伝」は、あくまで確立されたブランドの価値を維持するために行う。
といったような、いくつかの経験的なセオリーがあり、多くの有名ブランドは、こうしたルールに忠実に従っています。判りやすく具体的に言えば、あなたの地元周辺で、あなたの店の店名や主力の商品名を言えば、大多数の人が「知っている」と答えるようになったら、あなたの店は「ブランド力」がついた、と判断できることになるわけです。


【15】 多店舗化
10年前に親会社の新規事業として居酒屋からスタートし、その後、別法人として独立分社しました。その間に異なったスタイルの店を6店舗ほど出店しましたが、各店舗が遠く離れすぎているためか、管理が行き届かず、どの店も業績が落ちてきています。
各店を任せている店長の技量にも差がありますので、一度、店舗を整理して、あらためて多店舗化を図りたいと考えていますが、どのような方針で考えたら良いでしょうか?
多店舗化の基本的な考え方には、大きく分けて「本店支店政策」と「チェーンストア政策」があります。「本店支店政策」は、経営の屋台骨を支える「本店」を中心にして、「支店」となる店を次第に増やして行くやり方で、昔ながらの多店舗化の方法です。原則として、新しい店が運営できる人材が育ったら次の店を出すというくらいのスピードで、ゆっくりと1店舗ずつ出店して行きます。各々の店は必ずしも同じスタイルである必要はありません。
「本店支店政策」は堅実ではありますが、この方法では、どんなに頑張っても大企業にはなれません。せいぜい10店舗程度の規模が精一杯ということになります。また、各店の営業スタイルが統一されていない場合は、店長の能力によって大きく業績が左右されますから、人材の確保と育成が重要な課題となります。
これに対して「チェーンストア政策」とは、基本的に同じスタイルの標準化された店舗を数多く出店していく政策で、本店や支店などはありません。例え第1号店であっても、標準化できない店舗は閉鎖し、すべての店を本部が同じように管理して行きます。
ファストフード店やファミリーレストランなどが行っている方法がこれであり、この方法では3ケタ以上の規模のチェーンを作り上げることが可能になりますが、飛び抜けて優秀な店長を採用、育成しなくても、数多くの店舗の管理が行き届くように、シッカリとした業態フォーマットと運営ノウハウを早いうちに確立する必要がありますし、本部要員に優秀な人材を採用するだけの本部経費が集められるように、各店舗の収益性が充分に高くなければなりません。
いずれにしても、多店舗化の基本は、まず「テリトリージャンプをしない」ということにあります。テリトリージャンプとは、「縄張りを飛び越える」ということですが、すなわち、新規出店の際にむやみに自分の領土から飛び出さない、中長期計画で出店するエリアを定めて、そのエリアに集中的に出店していくということです。チェーンストアではこれを「ドミナント出店」などとも呼んでいますが、これは「点」や「線」で出店せずに「面」でエリアを押さえていく、という考え方が基本になっています。
多店舗化には計画的な政策が必要になりますし、それを支える実務経験のあるスタッフが必要になります。そうした組織面も視野に入れて、専門家などと相談しながら、十分な計画を立てて店舗展開を図ることが大切です。

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